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太陽光の訪問販売で出された見積もりは高い?実例8件をkW単価で比べた
結論から言うと、判断の物差しは「kWあたりいくらか」の1つだけです。 総額だけを見ても高いか安いかは分かりません。
実際に訪問販売で提示された8件を kW単価に直したところ、 15.4万円/kW 〜 90.8万円/kW と約6倍の開きがありました。 同じ9〜10kW帯でも152万円と450万円の見積もりが存在します。 国の調査による既築の平均は32.6万円/kWです(2024年設置・出典1)。
そして「実質0円」「補助金で実質220万円」という説明は、 総額を小さく見せる言い換えであることが多く、総額そのものは変わりません。
| 確かめること | 目安になる数字 | 詳しく |
|---|---|---|
| 見積もりの単価 | 総額 ÷ 容量(kW) | 計算のしかた |
| 比べる相手(国の調査・既築の平均) | 32.6万円/kW | 出典と注意点 |
| 実際に提示された8件の幅 | 15.4〜90.8万円/kW | 実例の一覧 |
| 「実質0円」「実質いくら」 | 総額は変わらない | 内訳の分解 |
まず総額をkW単価に直す
太陽光の見積もりは、容量(kW)が違えば総額も変わります。 150万円が安くて400万円が高い、とは限りません。比べるには単価に直す必要があります。
提示された総額 ÷ 設置容量(kW)= kWあたりの単価
例:総額280万円 ÷ 4.2kW = 66.7万円/kW
経済産業省の調達価格等算定委員会は、住宅用太陽光(10kW未満)の設置費用を毎年調査して公表しています。 2024年に設置された案件の平均は次のとおりです(出典1)。
| 区分 | システム費用の平均 |
|---|---|
| 既築(あとから設置) | 32.6万円/kW |
| 新築(建てるときに設置) | 28.6万円/kW(中央値28.7) |
| 全体 | 29.5万円/kW |
訪問販売で勧められるのは、すでに建っている家への後付け設置(既築)です。 新築より工事の手間がかかるぶん、既築のほうが単価は高くなります。 新築の数字と比べると自分の見積もりを不当に高く見積もってしまうので、 既築の32.6万円/kWを目安にしてください。
なお、この費用は2021年を底にやや上昇傾向にあります。 新築の平均で見ると2022年27.1万円/kW → 2023年26.9万円/kW → 2024年28.6万円/kW と推移しており、 「年々安くなっている」わけではありません(出典1)。 国が政策上の目標としている想定値は25.5万円/kWで、2026年度も据え置かれています。
実際に提示された8件を並べた結果
Yahoo!知恵袋に投稿された「訪問販売でこの金額を提示された」という相談から、 容量と総額の両方が書かれていた8件を抜き出し、kW単価の安い順に並べました。
| 容量 | 提示された総額 | kW単価 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 9.9kW | 152万円 | 15.4万円 | 太陽光のみ |
| 5kW | 150万円 | 30万円 | 太陽光のみ(同一見積内に蓄電池あり) |
| 10kW | 400万円 | 40万円 | 太陽光+蓄電池 |
| 7kW | 298万円 | 42.6万円 | 蓄電池(ハイブリッド) |
| 9.8kW | 450万円 | 45.9万円 | 太陽光+蓄電池 |
| 3.4kW | 190万円 | 55.9万円 | 太陽光のみ |
| 4.2kW | 280万円 | 66.7万円 | 太陽光のみ |
| 4kW | 363万円 | 90.8万円 | 太陽光のみ・足場代は取らないと説明 |
最も安い15.4万円/kWと、最も高い90.8万円/kWでは約6倍の差があります。 同じ9〜10kW帯を見ても、152万円(15.4万円/kW)と450万円(45.9万円/kW)が並んでいます。
既築の平均32.6万円/kWと比べると、 90.8万円/kWは約2.8倍、66.7万円/kWは約2.0倍にあたります。 一方で15.4万円/kWのように平均を大きく下回る例もあり、 「訪問販売だから必ず高い」わけでもありません。だから単価に直して確かめる必要があります。
これは8件の投稿から集めた実例であって、統計的な相場ではありません。 投稿者の自己申告であり、蓄電池の有無・パネルのメーカー・屋根の形状・工事の難易度が それぞれ違います。そのまま「相場」として使える数字ではありません。
それでも並べる意味はあります。同じ帯で3倍以上の開きが実在するという事実は、 「提示された金額が唯一の正解ではない」ことを示すからです。
「実質0円」「実質220万円」の内訳を分解する
訪問販売の説明で最も多いのが、総額ではなく「実質いくら」で話を進める形です。 実際の相談から、2つの典型例を挙げます。
例1:363万円が「実質220万円」になる説明
4kWで363万円という提示に対し、 「市町村の補助金が143万円出るので実質220万円、月々の支払いは9,100円」という説明がされたケースです。
| 項目 | 金額 | 確かめるべきこと |
|---|---|---|
| 提示総額 | 363万円 | 4kWなら90.8万円/kW。目安の3倍前後 |
| 補助金 | -143万円 | 本当に受給できるか/予算上限・申請期限・要件を自分で確認したか |
| 「実質」 | 220万円 | 補助金が下りなければ363万円のまま |
| 月々の支払い | 9,100円 | 相談者自身が「利子込みだと12,500円位」と補足。総支払額は別途計算が必要 |
ここで重要なのは、補助金は契約の相手(販売会社)が出すものではないという点です。 国や自治体が交付するもので、予算に上限があり、年度の途中で受付が終わることがあります。 2026年度の国の住宅省エネ支援である「みらいエコ住宅2026事業」でも、 公式資料に予算上限額の設定や交付申請件数の上限が明記されています(出典2)。
また、制度は毎年つくり替えられます。 2024年度は「子育てエコホーム支援事業」、2025年度は「子育てグリーン住宅支援事業」、 そして2026年度は「みらいエコ住宅2026事業」と名称も要件も変わっています。 営業担当者が前年度の制度名や補助額で説明している場合もあるため、 制度名と金額は公式サイトで自分で確認してください。
「補助金が下りなかった場合、契約はどうなりますか」と聞いてください。 口頭で「大丈夫です」と言われた場合は、その内容が契約書に書かれているかを見てください。
例2:445万円が「電気代0円でローンと相殺」になる説明
太陽光5kW(150万円)+蓄電池7kW(298万円)で合計445万円という提示に対し、 「電気代が0円になるのでローンと相殺できる」と説明されたケースです。
この説明が成り立つには、毎月のローン返済額と、削減できる電気代がほぼ等しい必要があります。 445万円を15年ローン(金利2%と仮定)で組むと月々およそ2.9万円です。 毎月の電気代が2.9万円を超えている家庭でなければ、計算は合いません。
「毎月のローン返済額はいくらですか」「削減できる電気代は月いくらの想定ですか」 —— この2つをそれぞれ数字で答えてもらってください。 合計や「実質」ではなく、2つに分けた数字が必要です。
内訳が書かれていない見積もりは判断できない
今回集めた相談の中には、内訳が明記された見積もりもありました。 こちらは金額の妥当性を要素ごとに検討できます。
| 構成 | 金額 |
|---|---|
| ハンファ Re.RISE-NBC 440W×9枚/270W×9枚 | 745,110円 |
| ニチコン 蓄電池 T6(19.9kWh) | 1,892,570円 |
| 設置工事費 | 635,048円 |
| 合計 | 3,272,728円 |
このように機器ごとの型番と金額、工事費が分かれていると、 同じ型番を他社がいくらで出すか比較できます。 逆に「一式」「工事費込み」としか書かれていない見積もりは、 どこが高いのか安いのかを検討する手がかりがありません。
① パネルのメーカー・型番・出力・枚数 ② パワーコンディショナの型番
③ 蓄電池の型番と容量(kWh) ④ 工事費が本体と分かれているか
その場で決めないための現実的な手順
訪問販売そのものが違法なわけではありません。問題は、比較する時間を与えられないまま契約することです。 今回の8件のように、同じ容量帯でも3倍の開きが実在します。
- その場では契約しない。見積書だけ受け取る(受け取り自体は契約ではありません)
- 総額をkW単価に直す。既築の平均32.6万円/kW(2024年設置)と比べる
- 他社の見積もりを取る。1社だけでは高いか安いか判断できません
- 補助金を前提にした説明なら、自治体の窓口で受給要件を自分で確認する
よくある質問
- 見積もりを受け取っただけで、契約したことになりませんか?
- なりません。見積書の受け取りやアンケートへの記入は契約ではなく、契約書に署名するまで契約は成立しません。見積書はむしろ、他社と比較するための材料として手元に残してください。
- 一括見積もりを使うと、複数の会社から連絡が来てしつこくないですか?
- 複数社に依頼する仕組みなので、複数の会社から電話やメールの連絡は届きます。連絡手段や時間帯を申込時の備考で指定する、比較して選ばなかった会社にははっきり断りを伝える、という使い方が現実的です。訪問販売と違い、こちらから依頼した会社としかやり取りしない点は大きな違いです。
- 「補助金が出るので実質いくら」という説明は信じていいですか?
- 補助金を出すのは販売会社ではなく国や自治体で、予算や件数に上限があり年度途中で受付が終わることがあります。制度も毎年つくり替えられます。「補助金が下りなかった場合に契約がどうなるか」が契約書に書かれているかを確認し、制度名・金額・受付状況は公式サイトで自分で確かめてください。
- 高齢の親が訪問販売で高い見積もりのまま契約しそうで心配です。
- まず「その場では契約しない。家族に相談してから決める」を家庭内のルールにしてください。すでに契約してしまった場合も、訪問販売なら法定書面の受領日から8日間はクーリング・オフで無条件に解除できます。困ったときは消費者ホットライン「188」に相談してください。
他社の見積もりを取って比べる
比較の相手がいなければ、提示された金額が妥当かどうかは判断できません。 複数社から見積もりを取れる無料のサービスがあります。 訪問販売を受けた見積書を手元に置いたまま、比較材料として使うのが現実的です。
当サイトは施工・販売を行っていません。上記は広告リンクであり、 申し込みがあった場合に紹介料を受け取ることがあります。
訪問販売による契約には、法律でクーリング・オフ制度が設けられています。 期間や条件は契約内容によって異なるため、 消費者ホットライン「188」または居住地の消費生活センターに相談してください。 当サイトは法的な助言を行う立場にありません。
出典
- 経済産業省 調達価格等算定委員会(第100回)資料1「太陽光発電について」 meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/100_01_00.pdf — p.38「(2)国内のコスト動向:システム費用(設置年別の推移)」より、2024年設置の住宅用太陽光(10kW未満)の システム費用は既築32.6万円/kW・新築28.6万円/kW(中央値28.7)・全体29.5万円/kW。 p.43 に2026年度の想定値25.5万円/kW(据え置き)の記載。
- 国土交通省「みらいエコ住宅2026事業について」 mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000310.html — 2026年度の住宅省エネ支援事業(国交省・経産省・環境省の連携)。 公式資料に「新築住宅に関する予算上限額の設定」(p20)、 「GX志向型住宅に関する交付申請件数の上限」(p19)等の記載があり、予算・件数に上限が設けられています。 なお前年度までは「子育てエコホーム支援事業」(2024年度)、「子育てグリーン住宅支援事業」(2025年度)という名称でした。
- 本文中の見積もり実例は Yahoo!知恵袋に投稿された相談から、容量と総額の双方が明記されていたものを抽出(2026年8月時点・n=8)。 投稿者の自己申告に基づく数値であり、統計調査ではありません